渡建築事務所の欠陥建築講座

※ 建築工事を依頼するに当たって失敗しないために ※


  •  故意に欠陥工事をしようとする人は少ないでしょう。 では、どうして欠陥工事が起きるのでしょうか?
     その大半は経験不足や勉強不足、そしてうっかりミスなどが原因です。

  •  依頼者に起因、設計者や施工者に起因することの他に建材業者や運送業者、さらには公共事業者に起因することも以外と多く有ります。

  •  気が付かずに工事完了時に欠陥となっていた場合なども結構有るようです。

※ これらのことも考慮に入れ、欠陥建築を無くする参考になればと思いながら書いていきます。

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★ その1 <依頼者(クライアント)が原因?>
★ その2 <設計者が原因?>
★ その3 <施工業者が原因?>
★ その4 <建材業者・運送業者が原因?>
★ その5 <関係官公庁が原因?>
★ その6 <大自然が原因?>
★ その7 <TV番組が原因?>

☆ その1 <依頼者(クライアント)が原因?> 

  1.  建築士に設計監理を依頼しないで工事すること。

  2. ◆ 設計費を安くしたいのか基本的な図面だけで、しかも、「あとは私が設計する」とか言い出すクライアントがいました。
     そのお方は過去に2軒の自宅を建てたそうですが、その時はゼネコンに設計込みで建築したそうです。
     なるほどね。何かあったのでしょうか、そのゼネコン(建設会社)に二度と頼めない理由が?
     嫌われたら何処か手抜きされたり心配になります。
     職人さんだって生活があります。図面のない仕事では手間にならないので良い職人は来てくれません。

    ◆ 何処かで覚えた工事をまともだと信じて、平気で手抜き工事をしている輩もいました。 本人は手抜きだと思ってないので始末に負えませんね。 後の祭りです。


  3.  公益法人の建築相談会に建築設計事務所を紹介してくれと駆け込むこと。

  4. ◆ 公益法人での紹介は時の役員の役得?でやっている奴がいるのでご注意。 役職はボランティアという言葉を隠れみのにしているようです。

  5.  やたらと鬼門を気にしていろんな祈祷師などを渡り歩くクライアント(施工主)。

  6. ◆ 結構いい加減な祈祷師を名乗っている方も多いので注意する事が望ましいです。

  7.  工事中、請負者に内緒で契約以外のことを直接職人に頼んだりすること。

  8. ◆ 職人さんと請負者の間の信頼関係を壊してはいけません。 職人は、請負者(親方)から仕事をもらっているので、施工主より請負者の方が大事なのです。

  9.  お金を払うんだから『私はお客だ!』と請負者(委託者・業者)のことを蔑まして見ること。

  10. ◆ 誰でも軽蔑の目は嫌なものです。 見えないところで、手を抜かれますヨ。(絶対といえます)

  11.  充分過ぎるほど多くの業者から相見積もりを取ることは失敗の元です。

  12. ◆ 業界の裏側では誰が見積もったか結構筒抜けなんですヨ! 『見積無料』と言っても結構時間と人件費が掛かるんです。 
    業者にいやなクライアントと思われ、”ションベン見積”を咬まされないようにしましょう。


  13.  法定監理(詳細な監理ではない)契約なのに詳細な細部家具の納まりまで設計監理をさせるクライアント。

  14. ◆ 開いた口が塞がりません。造作家具はインテリア系家具工事で。(追加でお願いします。)

 ※ 《ションベン見積》---わざと安い価格の見積書を提出し、ほかの業者を断った頃合いでいろいろな理由を提示され、価格をつり上げられる。 もう、他の業者を断った後なので困ってしまいますよね。  後は追加工事と称して、取られ放題に・・・と言う事も過去にあったようです。
    当然、いい仕事など期待できませんネ。
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☆ その2 <設計者が原因?>
 どこの建築士に依頼しても同じ建物が設計出来る訳ではありませんね。 そして、同じ設計図を用いても施工者が異なると微妙に違う建物に仕上ると云えます。 実際に施工するのは色々と素質や性格の違いをもった人間なのですから云うまでもありませんネ。


  1.  やたらとカタカナ語を使うような人は、要注意。 〔事務所名や会社名でも・〕
    <◆ 誰にでも判るような言葉(日本語)を使って説明するのがプロではないかと。 カタカナ語を煙幕にしてはいけませんよね。
    (そういう方は官僚や政治家にも結構いらっしゃるようですが、言葉の意味を問う事が大事です。)>


  2.  格好と言葉は立派だが技術が伴ってない人が結構居ますのでよく見極めること。
    <◆ 飛込み営業してくる業者に結構そう言う人が多いようなので、考える時間を持ちましょう。>

  3.  自分の作品が建築雑誌に載ってることを宣伝する人はチョット注意が必要かも知れません。
    <◆ 建築雑誌にはお金を出して載せることがほとんどなのです。 実際、売り込みに来ます。>
    (結構宣伝効果が有るので、利用者も結構多いようです。)


  4.  施工を知らない建築士に依頼する事。(ペーパー建築士 : 結構見掛ますし、お口の方も達者だったり)
    <◆ ペーパー免許も結構いましたが、中には無免許も、仕様が有りませんネ。>

  5.  デザイン重視、納まり無視の建築家が結構います。〔施工業者に納まりを設計させている?のが現況〕
    <◆ 『私のことを先生と呼びなさい』という時代遅れの設計師(建築家?ペテン師?)が最近いるようですが、そう言う奴ほど高い設計料を取りながらも、難しい納まりを施工業者に押しつけてきます。>
    〔施工業者からすればそこに利益チャンスがあるかも〕
    <◆ 細部詳細がないと積算が難しく、施工業者と設計者の調整が必要になります。

  6.  CADが普及したおかげで、やたらとメーカーのディティール(詳細図)を貼り付けた図面が増えました。
    <◆ 最もらしく見える素人図面には落とし穴的要素が結構あります。>
    (入社間もないまだ仕事を知らない社員や派遣社員に図面を書かせていることも多いようです。 仕様等の確認を怠らないように注意を要します。)
    <◆ >〔・・・〕
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☆ その3 <施工業者が原因?>
 大きな建設会社に依頼したから、豊富な人材がいて安心だと云えるでしょうか? 豊富な人材、それがメリットにもなり欠点にもなるのです。 いくら人材が多くても当りはずれも出てきます。 資格は持ってるが・・・というペーパー建築士が担当で来たらどうしますか? 

  1.  一人前でない職人もどきが手間だけ一人前?で大事な箇所の仕事をしてた。〔特にバブルの頃は多かった・〕
    <◆ 大工は九年掛かって一人前と認められたものだと、よく聞かされたものです。 今は道具(工具)の性能が良くなり、プレカット(機械加工)されたものを使うことが多くなりましたが、大工職人の技を見せる場が少なくなりました。>

  2.  材料費の手抜きによること。 〔総檜の住宅?・・・〕
    <◆ 檜(ヒノキ)と偽って椹(サワラ)などの代用樹種を使用し材料費を浮かす?>

  3.  建築確認申請(確認通知書)だけで、設計料サービスという施工業者がいるので注意しましょう。
    <◆ 建築確認申請と建築設計は根本的には違うものです。>

  4.  建築士がいなくても施工業者の登録は取れますが、その手の施工業者に依頼する時は間に建築士事務所を介入させるなどしましょう。
    <◆ 近所の工務店などでも最近は信頼より利益に走りがちなので、第3者の建築士に設計監理を依頼する等アドバイスをして頂きましょう。>

  5.  官庁工事でも、丸投げしてる施工業者がいるようです。 〔どこかの企業舎弟?〕
    <◆ ピンハネ業者の下請けは相当苦労してるようです。 解決策は、近所で聞き込み調査をすることです。>

 増殖したペーパー建築士と工学研究者が机上の理屈を唱え、実験と書類だけで安心を押し売りしてるように感じてるのは、私だけでしょうか?

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☆ その4 <建材業者・運送業者が原因?>
  1.  材料の納品書や試験表などを捏造されることが有ります。 〔最近大企業が問題に!?〕
    <◆ 工事の失敗を隠すため?、現場での地位を利用して、建材業者などに納品書などを捏造させたりする。 そういうことは、絶対に断って欲しいものです。 >
    <◆ つい最近、大企業メーカーが、それもJis規格を捏造した大事件がおきていました。 誰を信じればいいのでしょうか?>


  2.  形は同様でも規格と違うものを搬入してくる。 〔そのお蔭で、今では大企業に?〕
    <◆ 何処かで、安物(規格外製品)と擦り替えて搬入されることも有り得ます。--- 納品書に注意! (工場生産の不良品を補修したものなどが、安く入ってきたりする事も)>
    ※ 筆者は若い頃に有名大企業が現場に納品したJis規格外の鉄骨材を発見し、指摘したことがあります。


  3.  砂利トラの現場検収違いと内訳書の数量違い。---(通常は現場に於いて検収する)
    <◆ 怖いお兄さんが運転手でつい多目の検収になったりする事も有り、その分が施工時に手抜きにつながったりする事もあるかも。>

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☆ その5 <関係官公庁が原因?>

  1.  官庁検査時に試験成績表等を熱心に机上検査し感心(マニュアル通り)なのですが、現場は素通り状態?の検査。

  2. <◆ 書類が捏造されてたらどうするんだろう? ん?、捏造されてないか捜してたのかもね。>
    <◆ 素通り状態の検査は施工業者にとって非常に有り難い事かも知れませんネ。>


  3.  訳の解らない?(個人的な解釈?)監督指示をする人が・・・〔エッヘン!〕

  4. <◆ よく有る事です。 弱い立場の業者は言うことを聞いてしまい、結局は御上の云うとおり・・・で、責任は? 当然業者ということにされることが多いです。>

  5.  各官庁、または担当者により著しく対応(法解釈)が違う事がある。

  6. <◆ その違いが工事費にも多大な影響を与え、結果として欠陥を招く一因になることも有り得る。>
    <◆ 先の大阪地震で小学校のプールサイドのブロック塀が倒れましたが、手抜きと施工ミス・控え壁については未設計?、それに、定期調査で指摘されていなかったか疑問に。 >

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☆ その6 <大自然が原因?>

  1.  工事中に鼠に電線をかじられていた事が原因による漏電事故。
    <◆ たまに頭の黒い鼠が電線を売り飛ばしたり・・・「単相3線(電灯200V)の1本はアースなので100V利用の場合紅白2線に減らしても気がつかない事も。これは実際に外線で有ったと聞いた事です。」>

  2.  雨樋や屋根瓦に雀が巣を作り、そこに、青大将(蛇)が入り込んだりして雨漏りが・・・
    <◆ これは欠陥ではないですが、雨樋はマメに清掃いたしましょう。〔メンテナンスの問題〕>

  3.  掃除が希薄な屋根廻りにぺんぺん草がはえて防水層に亀裂が・・・
    <◆ これも欠陥では有りませんが、屋根廻りもマメに清掃いたしましょう。〔メンテナンスの問題〕>

  4.  阪神淡路大震災・東北大震災津波で日本の建築の地震による安全神話が脆くも崩れました。
    <◆ 阪神では大きな地震が起きない伝説があり、多くの施工と管理に手抜きが行なわれていた。>
    (阪神淡路震災の前の話ですが、阪神方面から来た溶接工から監理がうるさすぎると言われた時の話です。)
    (被災写真を見ると、破壊された鉄骨造の溶接部分剥離が多く見受けられた)


  5.  房総地域では前の台風で多くの家屋の屋根瓦が飛びました
    <◆ 屋根瓦の留め方が改正された様です。>

※ 大震災以降、法の大改正がなされ講習会漬けに成りつつあります。 講習会が多ければ関係団体は潤うでしょうが、結果として、建築主や建築士への負担増としてのし掛かります。

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☆ その7 <TV番組が原因?>
  1.  どこかの先生がやたらと、手抜き・手抜きと言う番組が有りましたが・・・
    (手抜きをしたのはあなたの教え子かも知れませんネ。)

    <◆ 一方的に手抜きとおっしゃってましたが、木造の継手や仕口には色々な納まり方があります。 こういう納まりは、云々という解説出来ないがままに一方的に視聴者に不安を与えてませんか。>
    <◆ 世の中手抜きブームになり、建築相談が多くなり施工業者との信頼性が薄れつつ有ります。>


  2.  台所の改修が多いようですが、・・・
    <◆ 簡単に壁を打ち抜いてますが、その分の講造補強はどうしたのでしょうか?>
    <◆ テレビ放映の時に換気や内装制限などの解説も有ったら良いですね。>


  3.  陰陽師を名乗るものが出演したり・あっ!陰陽師の子孫を語った政治家も?
    <◆ いたずらに消費者心理をあおらない方がよいかと思います。>

  4.  TV局が出演の建築士に結構無理難題を・・・建築士は家具屋ではないですよ
    <◆ 造り付け家具が付いて当たり前のように要求されることが増えましたが、家具は通常別途設計です。>
    <◆ 宣伝効果をネタに結構サービス仕事をさせられたと嘆いていた建築士もいたようです。>


※ 最近、テレビでリフォーム番組が流行ってますが、クライアント(施工主)に働かせ、しかも、ヘルメット等の安全具も使わない工事を放映し、設計料と工期や人件費が不明だったりしながらも、とても安く仕上がったとしていたりしてますが、職人を遣わないで安く上がっても納まりが旨くいくとは限らないし、怪我をしても労災がおりませんよ。 おっと、それから、建築基準法との整合性を考慮しないといけませんね。

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欠陥はいやなものです。